2021/07/29〜07/30
FIA Electric&New Energy Championship ソーラーカーレース鈴鹿2021
   (鈴鹿サーキット国際レーシングコース@三重県鈴鹿市)
■■ 5時間耐久レース・CHALLENGEクラス
 ■■■■ 5時間耐久    総合11位 / CHAクラス優勝 / 54周 / 5:02'20.527
Fastest Lap CHAクラス 5'01.180 (2/54) 69.411km/h
そこのFKさん、ニッチな指令室レポのファンの皆さん、指令室レポートが帰ってきましたよ。
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2020年11月11日、業界に衝撃が走りました。

JAFとモビリティランドから、ソーラーカーレース鈴鹿を2021年大会をもって終了すると発表されたのです。
https://jaf.or.jp/common/news/2020/20201111-001

このニュースで監督がギックリ腰になったとかなんとか?ラストイヤーと聞いてか腰痛戦隊イタインジャー現る!? 
鈴鹿に行ったのは2017年大会が最後です(ただし引率)。それ以降は行けていないので、鈴鹿ラストイヤーは何としても・・・んがしかし、コロナ禍でとても行けそうにありません。しかし、ラストイヤーなのでどうしても参加したく、コロナ禍で発達した技術を使って、遠隔指令室を試みてみることにしました。

遠隔指令室は、ざっとこんな感じです。

■ビデオ会議:Google Meet
Google meetは無償版でも1対1なら24時間まで通話が可能です。ピットにスピーカーマイクを置きましたが、ピットメンバーとの通話に問題ありませんでした。場内放送も聞こえるくらいです。
 

■Excelの共有:Microsoft OneDrive
エネルギーマネジメントとラップタイム管理のExcelファイルは、Microsoft OneDriveで共有し、Excel Onlineで同時編集としました。ビデオ会議の画面共有と違って、何時でも好きなシートを見ることができ便利です。Excel Onlineは機能が限定されますが、セルに数字の入力しかしないので十分でした。
  ・遠隔指令室(↑)
机の真ん中にはチャンピオンカレーが捧げられています。

・チャンピオンカレー(↓)
期間限定、脂の美味しさに「とこトン」こだわった極上の“能登豚”Lカツカレー
■レース実況:JAF MOTOR SPORTSのYouTubeチャンネル
レース実況とビデオ通話の音声ですが、アクティブなウィンドウのみしか聞こえないのかと思っていましたが、同時に聞こえるので問題ありませんでした。ただし、生配信ですがタイムラグがあるので、途中から音声を聞くのを止めました。

■タイミングモニター:Google meetの画面共有
ピットに家庭用のテレビを持ち込み、ピットにあるアンテナ線を繋いでタイミングモニターを表示します。このテレビにHDMIキャプチャーボードをつけて、パソコンに取り込みGoogle meetで画面共有をしました。モビリティランドのアプリがあるのですが、予行演習時にソーラーカーレース鈴鹿が対象か分からないので利用は見送りました。
 
■テレメータ:モリチメータ&モリチメトリー
補助的にインターネット経由のテレメータを導入しています。具体的にはAmbientのサービスを使って、いくつかのデータとGPSの位置情報を、インターネット上で可視化しています。モリチテックがフルコースでリアルタイムデータ、位置の可視化にこだわってやってきて逸品です。Flat-Outが鈴鹿サーキットのどこを走っているかが分かるので、遠隔にはありがたかったです。特に今回のような天気ですと、東コースと西コースの発電の違いとかが確認できたので便利でした。

■その他:
気象衛星ひまわり、雨雲レーダーなどなど・・・あれもこれもとやっていったら、見たい画面が増えパソコンのディスプレイだけでは狭くなり、家のテレビを繋ぎ2画面としました。

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ピットウォールからの、ライバル車とのタイム差などの情報は、Facebook Messengerのグループ機能を使い、テキストでやり取りしました。たまに雲の映像を送ってもらったのは遠隔にはとても助かりました。
・鈴鹿サーキットのピット
さて、チームのトピックスです。
  ・ダンロップに続いてブリヂストンもソーラーカー専用タイヤの製造中止を発表
・レース1週間前に指令室用のサブディスプレイが壊れる
・監督の誕生日の前日に赤い切符をプレゼントされる
・移動用のコンテナを建造し積み込みが楽になる
 (4トントラックの荷台に上げるの大変なんですが、それが無くなりました)

ハレ男伝説の監督のネガティブ要素が多い気がします?マジんが?ラストイヤーだぞ!

ハレ男はハレ男であって、ハレるからハレ男伝説であって、車両としては大きな仕様変更は無くとも淡々とやれることを積み上げ、戦う車両に仕上げる男です。

私もハレたく、淡々とチャンピオンカレーのLカツカレーを食し、祈りを捧げ続けました。チャンカレを頂く時の飲み物に、天気予報が良くないのでカナダドライ選んだのですが、なんかチームでウケけました。

ジンジャーエールと言えばカナダドライじゃないですか?  レースは、ドライバーの1回の乗車時間が1時間30分になったので、3回のドライバーチェンジとなり、少なくとも4スティントの走行となりました。タイヤ交換を予定していますが、ドライバーチェンジは早い方なのでピットイン増は良い方向でしょうか。

ドライバーの走行計画です。
   第1スティント:スタートドライバーSYO
   第2スティント:ゴールドライバーMAK
   第3スティント:スタートドライバーSYO
   第4スティント:ゴールドライバーMAK
   リザーブドライバーPIY

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7/30(金)、車検とフリー走行という名の予選です。

車検はこれと言って何かあったわけでもなく、淡々とクリアします。チャレンジネ申4の中で一番若いクルマといっても、すでにキャリアは10年を超えるので、指摘されることも無いようです。でも、ブレーキテストで止まりきれず、3回やりなおしたのはナイショです。

フリー走行という名の予選は、TEAM RED ZONEが超頑張るようですが、おとなしくピットでおチンしてもいられません。変なタイミングで入るよりは、真後ろにいるほうが安全なので、TEAM RED ZONEのすぐ後ろでコースインさせました。
 
 
   

 
  TEAM RED ZONE 野村氏のアタックの映像がでていたので見ていると、TEAM RED ZONEの前でTHE BLUE STARSが、まさかのスピン!山本晴彦氏の夏がフリー走行で終わってしまうのか!?と一瞬焦りましたが、その後も走行してたので一安心です。

タイムアタックはスタートドライバーSYOを起用し、4分38秒とマズマズのタイムです。
スタート順を決めるだけなので十分です。

例年どおりタイムアタック1周のみ、その後はロングランテストになります。ゴールドライバーMAKとリザーブドライバーPIYの練習走行となります。データも良いので車両も人間も調子がよさそうです。決勝でピヨちゃんマゾの登場があるかもしれません?
  夕方にはピット作業、ドライバー交代とタイヤ交換の練習を行いました。
チームが大人になると、仕事、家庭、いろいろでレースに集まりにくくなってきます。

鈴鹿ラストイヤーということで、今年はフルメンバーが集まりました。
指令室は遠隔ですが・・・。フルメンバーが揃えばピット作業も熟練です。

指令室はチャンカレを食べていました。 
 
−−−
7/31(土)いよいよ鈴鹿ラストイヤーの決勝です。遠隔指令室の準備をし、不安なのは我が家の貧弱なネット環境です・・・。

 
  第1スティント、スタート時は晴れ、指示は走りやすいポジションキープです。いずれ曇るだろうとの予測で、それがいつか?遅くは走れないので晴れが続くことを祈ります。

12時、太陽はサーキットの真上、レーススタート、イケイケゴーゴー、あれっ、遠隔で見ている生配信と、ピットの音声にタイムラグが・・・。そんなことは置いておいて、困ったことに、スタートして直ぐに雲はやってきました。

マジで困った、遅くは走れないスパルタマシン、どうすべか?
   私の可愛いExcelは、15時に止まると言っています。
 クラス1位をキープですが、借金2時間か・・・可愛くないよ。

 スタートドライバーSYOと相談しながら、5分00秒台から徐々に
 ペースを落としていきます。でも、遅くは走れません。

 消費を減らすなら極端に落とすしかありませんが、その選択はありません。
 指令室では、止まってもいいので、走れるだけ走ろうとなります。
  スタートドライバーSYOは走り方を試し、5分30秒台で走れるようになりました。
しかし、遠隔指令室としては、なす術も無く1時間30分になってしまったので、
ゴールドライバーMAKにドライバーチェンジをします。

ピットインでマージンを稼げるのは、流石のチームワークです。

第2スティント、具体的なタイムでは無く、ゆっくり走行の指示ですが、
1周目は5分16秒・・・ピットと遠隔指令室がハモって「速っ(笑」
やっぱり遅く走れない車両のようです。
ゆっくりとの指示を出しますが5分20秒台です。

   借金生活ですが、無理にラップタイムを落とすより、走りのリズムの維持と
 判断し、ツボなペースで走ります。
 元々、ラップタイムの指示は我慢の一定派です。

 とはいえ、借金返済をどうすべかな?と、悩んでいたところ、西コースに
 晴れ間が見えはじめました。発電が増えはじめたので、ツボなペースを
 維持します。通常だとペースを落としていたと思いますが、
 モリチメトリーのおかげです。
 
 借金は地味に返済していきますが、私の可愛いExcelは、16時に止まると
 言っています。クラス1位をキープですが、借金1時間か・・・あんまり可愛くないよ。  
 

しかし、発電は長くは続かず、利息は返済しているものの、元本が減りません・・・。

ここで後半の作戦を立てます。第1スティントと第2スティントの走りの比較すると、スタートドライバーSYOの方が、遅いタイムに慣れてそうです。第3スティントで、スタートドライバーSYOに、借金返済の走りをしてもらい、第4スティントのゴールドライバーMAKで、勝負をかけることにしました。遠隔ですが、スタートドライバーSYOとは会話ができ、作戦を伝えることができました。走り難いですが、チームの選択を理解してもらえて良かったです。

あれこれしているうちに時間が来たので、スタートドライバーSYOにドライバーチェンジします。このピットインで全輪タイヤ交換をします。遠隔だと、エアインパクトのドゥルルって音だけ聞こえてドキドキしました。  さぁ後半!頑張るぞって時にトラブル発生です。積算計の表示が飛びました・・・。

幸い?積算計の本体は生きていて、表示器のトラブルのようで、次のドライバーチェンジのタイミングでリセットをかけることにしました。と、言う訳で第3スティントの間は残量不明のままの運転となりました。バッテリ残量は電圧で確認しつつ、積算計をみなし値として計算しました。

スタートドライバーSYOは慣れない5分40秒前後のラップタイムで、こつこつと借金を返済してくれます。幸いに日射が回復傾向にあり、私の可愛いExcelは、16時30分に止まると言っています。クラス1位をキープしつつ、借金は30分に・・・ちょっと可愛く見えてきた。

日射も回復してきたのでカナダドライから、ついにレッドブルブースターを投入しました。(現地では2段目が点火されていました)

ライバルは紀北 TECH TEAMが6分台と元気が無く、堺市立堺高等学校 科学部は日射なりの何時ものペース、Cabreoはラップダウンしているもののペースは速く、借金生活中なのでとても気になります。

残り1時間を前に最後のピットイン、積算計をリセットし、ゴールドライバーMAKにドライバーチェンジします。全車ラップダウンし、日射も回復、ピヨちゃんマゾの登場を検討しましたが、まだ借金が30分もあるので、残念ながら見送られました・・・。

指示は5分30秒台、神様、仏様、MAK様のお祈りタイムが始まります。通常の指令室業務はピットメンバーに任せて、遠隔指令室では第3スティントのバッテリ残量の再計算に入ります。結果は・・・なんと埋蔵金が発掘され借金返済、グラフの傾きも立ち上がりました。これで借金は20分になりました。
   


残り1時間、借金20分、日射は時間なりに回復しているので、何とかなるかなと思い始めました。後はゴールドライバーMAKの走りを祈るのみです。ラップダウンしているとはいえ、Cabreoの走りがいいので、止まったら抜かれるドキドキ感がハンパ無いです。

ゴールドライバーMAKはチームの期待に応え、電圧が落ちてくる後半の走りは流石の一言、抜群の消費でラップを刻んでくれます。

ラスト20分、後4周、バッテリはそろそろ限界?でも、遅いペースなので何時もより電池からの電力は出るハズ?Cabreoのペースも落ちてきましたが、ラップダウンしているとはいえ、止まったら抜かれるかも?いろいろなことが頭をよぎり、ヒリヒリ感がハンパ無いです。

ゴールドライバーMAKにダンロップでのパワー感を聞くと「あんま無いけどまだ大丈夫やろ」との返答でした。うぅ〜ん、ヘロヘロ目前ですが、止まりはしないかなと?私の可愛いExcelもだいたい17時と言っています。期限までに借金返済か・・・可愛いやっちゃ。

そのまま何とか5分30秒台をキープしファイナルラップへ、クラス優勝を確信し、FlatOutとゴールドライバーMAKを迎えに行きます・・・こういう時、遠隔は寂しかったです(笑

ブラボー!ソーラーカーレース鈴鹿2021、優勝したどー!

優勝は嬉しいですが、これでソーラーカーレース鈴鹿が終わっちゃうかと思うと、
なんだろ、なんて言ったらいいのか、言葉が見つからず複雑な気持ちです。

Team MAXSPEEDを支援してくださった皆様、応援してくださった皆様、関係してくださった全ての皆様、ありがとうございます。お陰様でソーラーカーレース鈴鹿ラストイヤー優勝、2連覇、通算6勝目を飾ることが出来ました。

最後の挨拶は監督から

aku
   
はい監督です

2021年7月31日、今大会をもって約30年の歴史に幕がおろされました。
同時に一つの時代が終わったようにも感じております。
ここまで支援いただいた皆様、応援いただいた皆様、
ご指導いただいた諸兄、
ともに研鑽をつんだライバルの皆、
大会関係の皆様、本当に本当にありがとうござます。

コロナ禍で行けなかったソーラーカーレース鈴鹿ラストイヤーですが、コロナ禍で発達した技術のおかげで、遠隔指令室を実現できました。我が家の貧弱なネット環境もよく耐えてくれました。遠隔指令室も楽しかったですが、やっぱり現地で楽しみたかったです。

そこのFKさん、ニッチな指令室レポのファンの皆さん、久しぶりの指令室レポートはいかがでしたか?
また、指令室レポートをお届けできる日が来ますように(祈
最後まで読んで頂きありがとうございます。

ここから指令室提供SCRデータ  グラフ画像をクリックすると大きめ画像が開きます。   
チャレンジクラスのラップタイム推移
   

最後に最終結果
Official Results
総合 ゼッケン クラス/クラス順位 チーム 周回  時間
1 #002 OLYMPIA 1 TEAM RED ZONE  66 5:01'52.580
2 #008 OLYMPIA 2 柏会  65 5:02'04.452
3 #001 OLYMPIA 3 KAITソーラーカープロジェクト  62 5:01'20.160
11 #32 CHALLENGE 1 Team MAXSPEED  54 5:02'24.235
14 #31 CHALLENGE 2 Cabreo  53 5:05'41.520
15 #35 CHALLENGE 3 堺市立堺高等学校 科学部  52 5:04'41.213
18 #34 CHALLENGE 4 紀北 TECH TEAM  42 5:02'29.804
19 #33 CHALLENGE 5 メリンガータ   38 4:52'55.054
21 #37 CHALLENGE 6 鈴鹿高専エコカープロジェクト  33 5:01'35.386
公式サイト・結果
https://www.suzukacircuit.jp/ene1-challenge/
https://apps.mobilityland.co.jp/info/download/8rbwTj
文:監督T.kura、指令室kuchi 
marusannkakushikaku
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