2015/07/31〜08/01
FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP ソーラーカーレース鈴鹿2015
   (鈴鹿サーキット国際レーシングコース@三重県鈴鹿市)
■■ 5時間耐久レース・CHALLENGEクラス
■■■■ 5時間耐久    総合6位 / CHAクラス優勝 / 59周 / 5:02’20.122


SNS全盛、いろいろ情報が有るので、そろそろこのレポートを止めようかと思っていました。
しかし柏会福北氏を初めとする、ニッチな読者の熱烈な要望を受け、今年も書くことにします。
 トップ3台によるノートラブルの高速バトル、ヒリヒリしました。
7月30日(木)大会前日
仕事を終え、チームメンバーの晩御飯用にチャンカレ本店で折を購入し、スカパラのアルバム『Walkin'』を聴きながらご機嫌でガレージに向かいます(やべ、気が付けば、昨年涙をのんで聞き続けた「縦書きの雨」がヘビーローテーション・・・)

地元チームは朝が遅く車検に出遅れてしまうので、今年は木曜日中に車両をサーキットに搬入しました。

今年のトピックです 
 ・大本命ピヨ厄が開ける(しかし前厄・本厄・後厄のフルセットは変わらず)
 ・サンパワー製の太陽電池に張り替え
 ・システム電圧を96V系から72V系に変更
 ・システム電圧変更に伴うモータの再設定
 ・Mテック製のIoTを使ったテレメータの導入
  (ただし電圧のみで電流などの開発はこれから。メータの読み上げは健在)

 ・コンドウDESIGN製の14インチワイドホイール投入(本人は仕事で参戦できず、残念)
 ・レッドブルブースター
 ・死神の目(寿命の半分を差し出してバッテリ残量が見える目を授かる)
 ・指令室の簡素化(○鹿の一つ覚えでモニターを増やすのを止めました)
 ・ガレージの4Sを実施し荷物が減った
 ・電気のたたり(チームのメインパソコンが虫の息、NASの電源が破損、GPSの電池がお亡くなりに)

7月31日(金)車検とフリー走行(予選)
前日に車両をサーキットに搬入しているため、当日の準備は少なく、車検に向かえました。車検がクラス毎に分かれるなど、並ばなくて済むので助かりました。昨年の車検での指摘事項に対応していたため、何も問題なく通過しました。

車検会場ではライバルの探り合い、既にベンベンべんべんとあちこちで奏でられ、 特に柏会とは同じタイミングで車検を受けたため、福北氏、松山氏から質問攻めにあいます。
   
   柏会:(ボディ前方を指さし)トラッカー何使ってんの?
       赤いトラッカーを使ってくれてる?発注来ていないけど?
   MAXSPEED:(ボディ前方を指さし)浪越です。

そして私は昨年のレポートについて、笑顔の柏会福北氏から褒め殺しにあいます(笑)
予選を兼ねたフリー走行は、何時もの通り1周目にアタックし、その後はロングランテストを行いました。システム電圧を変更しているので、走り方を探ります。しかし約1時間の走行では限界があり、それとなく当たりが付いたところで終わりました。

フリー走行後はドライバーと本戦の走り方を検討し、それなりの方向を見いだせました。
ターゲットタイムが速く、これまでの走り方を変えるため、何が正解か分からず不安なんですが・・・。
電圧は12V換算すればピンと来るのですが、これまでよりも大きな電流値に慣れずに不安なんですが・・・。

ここまで、少々のトラブルは有りましたが、概ね順調で陽の有るうちに切り上げられました。それはそれで不安なんですが・・・。
一風呂浴びて、儀式をしたいのですが、スエが無くなってから、これといった飲み屋が見つからず、不安なんですが・・・。

不安だらけで夜のサーキットに戻ると、新鋭RZのNドライバーがご機嫌でバーンアウトされていて、不安が飛んでいきました。

8月1日(土)決勝
何時もは、気が付けばチェックしている天気図や天気予報ですが、今年はほぼ見ていません。今年は誰でもドピーカンの予想でしょう。これだけの晴予想、作戦なんているのかと思いつつ、日射を13年大会並みとして計算しました。元々この条件でセッティングしているので今更ですが。しかしシステム電圧変更でデータが無く不安なんですが・・・。
作戦
目標周回数  : 2億周(地球換算で60周)
ターゲットタイム: 5分00秒
その他     : 全輪タイヤ交換

全輪タイヤ交換にはリスクが有るのですが、次の2点で実施を決めました。
   ・これまでエアツリーは、トラブル対応でしか使ったことが無く、本来の目的であるピットストップ時の全輪タイヤ交換で使ってみたい
   ・ゴールドライバーの安心感(ターゲットタイムが速いのでタイヤを気にせず攻めてもらいたい)

スタートは12時、太陽光がさんさんと降り注ぐ中、スタート進行は淡々と進んでいきます。
そして、スタートドライバーと固い握手をかわし、ピットからコースに向かうソーラーカーを見送ります。

(昨年はスタートドライバーに指示が自由過ぎて困ると叱られました。今年も自由に走れとの指示、意図はダッシュ、ダッシュ、ダッシュ、猛ダッシュ、自由に走れるポジション確保でし。スタートドライバーには指示の意図を理解していただき、叱られずにホッとしました。)

さぁ、行きましょう!取りあえずレッドブルブースター第1弾発射!?

スタート進行は問題無く進み、12時にレーススタート。TeamMAXSPEEDのスタートダッシュは何時もの光景で、誰も相手にしてくれません。 みなさん、そんなにゆっくりしていて良いのですか?
スタート後の順位は、Team MAXSPEEDが先行し、柏会と紀北工業高等学校ものつくり研究部が競りながら続きます。Team MAXSPEEDはじりじりと引き離しにかかります。

全輪タイヤ交換のマージンを稼ぐため、5分5秒で淡々と走るよ。

毎年表彰台を争う、堺市立堺高等学校科学部が離れていきます。 
よっ、吉田先生、スリムかつ筋肉隆々になった成果を今こそ発揮されるときでは??
と、思いつつ自分のお腹を眺める・・・ふぅ〜ん、はぁ〜・・・。ε-(´・`)

後続とのタイム差を確認しながら、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。
50分経過の10周めあたりから、紀北工業高等学校ものつくり研究部を離せなくなってきました。これ以上差が開いたら厳しいですよね。

マージンは約60秒、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。


1時間20分経過の16周めあたりから、柏会を離せなくなってきました。

マージンは約90秒、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。
☆☆ 2時間50分経過の34周、先ず柏会がピットインし、ドライバー交代を済ませます。
続いて35周、Team MAXSPEEDがピットインし、ドライバー交代と全輪タイヤ交換を済ませます。

約2分の停車で、紀北工業高等学校ものつくり研究部の95秒後ろ
先にピットインした柏会の5秒前、2位でコース復帰します。
柏会の前でコース復帰できたので、先ずは作戦は成功と言えるでしょう。

クラストップは95秒先、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。
3時間30分経過の41周、紀北工業高等学校ものつくり研究部ピットインし、ドライバー交代を済ませます。レジェンド中岡御大の登場です。敬意を込めて、あのお年で第一線を走り続けるレジェンド中岡、私の語彙では形容する言葉が見つかりません。そして、レジェンド中岡を支え、あの天候で12時から3時間30分走り続ける、宮下ドライバーも凄いですね。
紀北工業高等学校ものつくり研究部は先頭に立てず、Team MAXSPEEDの33秒後方、柏会の21秒後方の3位でコース復帰しました。

予想では、紀北工業高等学校ものつくり研究部が先頭で、Team MAXSPEED、柏会が秒差の三つ巴の戦いになると思っていました。トップ3の全車ピットイン後は、Team MAXSPEEDが先頭で、後方12秒に柏会、33秒に紀北工業高等学校ものつくり研究部となりました。全輪タイヤ交換をしつつも1位をキープ、作戦大成功で理想的な順位です。

レース後にラップタイムを確認すると、Team MAXSPEEDがピットイン後に、紀北工業高等学校ものつくり研究部がペースを落としているように見えます。藪下先生に確認すると、落としたつもりは無いが、実際に落ちてしまっていたとのことです。
結果的に勝負を分けたのは、このピット戦略に思います。
いかがでしょう?みなさん?

後半戦、60周を狙えましたが、記録より優勝ということで
59周ペースとし、後続との差を見ながらレースコントロールに入ります。

後方は10秒差、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。

紀北工業高等学校ものつくり研究部は、ピットアウト後にペースアップしました。終盤に備えTeamMAXSPEEDと柏会を視界におさめておくためと思われます。そして柏会に追いついたらペースダウンするだろうと予想しました。従ってペース維持、こんなことではビビッて動きませんよ(冷汗はかきっぱなし、レッドブルブースターが注ぎ込まれます)。この時は、柏会と紀北工業高等学校ものつくり研究部で、バトルをしてくれないかなと思いました。

後方10秒差は変わらず、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。

3時間50分経過の45周めあたりから、柏会のペースが落ち始め、徐々に離れていきます。 ふっ、福北氏、福北氏、福北氏、何かありました?その余裕あふれる笑みフェイクなんですか。

これでTeamMAXSPEEDと紀北工業高等学校ものつくり研究部の、10秒差の一騎打ちになりました。逃げるTeamMAXSPEED、追う紀北工業高等学校ものつくり研究部のつばぜり合いが続きます。

終盤の強さに定評がある紀北工業高等学校ものつくり研究部に追いかけられても、焦らずに5分5秒で淡々と走るよ。

4時間10分経過の50周めあたりから、紀北工業高等学校ものつくり研究部のラストスパートに備え、どう動こうかと悩みます???指令室は自ら動く必要は無いと判断し指示を変えず、ドライバーは淡々と走り続けます。周りからは淡々と走っているように見えるかもしれませんが、心臓バクバクで、お祈りタイムに入ります。レッドブル ブースターは何段目が発射されたことか?(周りには寿命を削りながら、パフォーマンスを上げているように見えたそうです。)
見た目に明らかな動きをしたくないので、ドライバーのツボな走りを見極め、5分5秒未満という微妙なペースをキープすることにしました(たぶん誰も実感が無いはずです)。そして約40分10周かけて30秒まで差を広げることができました。

ここではピットウォールのサインボードが大活躍でした。伊達にデジタルモニターを2台も持ち込んでいません。セクタータイムのチェックなど、実は指令室より細かいタイム管理が行われています。流石鈴鹿8耐を戦う男たち、後続とのタイム差など、ドライバーが必要な情報を判断して、サインボードで知らせます。阿吽の呼吸、チーム力ですね。
そして30秒差で迎えたラスト1周、さぁ、抜けるものなら抜いてみなさい!!と、ゴールを迎える準備をします。そのままクラストップでチェッカーフラッグを受けると、すぐ後ろを紀北工業高等学校ものつくり研究部が走っているではありませんか・・・。紀北工業高等学校ものつくり研究部は、4分53秒のベストタイムで猛追、恐ろしい最後の瞬発力です。Team MAXSPEEDは電圧がドロップ寸前、もうあんな瞬発力は有りません。

最後に猛追を受けましたが、Team MAXSPEEDは後続を14秒差でかわし王座奪還、4年ぶり4度目のクラス優勝をつかみとりました。
5時間走って14秒差、指令室としては最高の気分です。

結果的に、作戦どおりの走行、着かず離れずの微妙なレースコントロールでつかんだ勝利と思っています。エネルギーマネジメントというより、レース戦略がばっちり決まったと、チーム力に自画自賛です。

トップ3台によるノートラブルの高速バトル、ヒリヒリしました。

今年は、焦らずに5分5秒で淡々と走ったよ。
レース後に・・・
大本命ピヨ厄が去りましたが、レース後、ピヨ本人も仕事に向かうべくサーキットを去りました。ここまで命を削るレースをした後、22時から働くサムライです。この人、たまに飯N町にサッカーをしに帰りますが、睡眠を取らずとも○○で生きていけるみたいです。

撤収グランプリ中、宙に目をやると、流れるISSを見ることができました。何時の間にかベンベンべんべんと奏でる自分に猛省です。

王座奪還に向け、太陽電池の張り替え、モータの再設定など、多くの方に支援をして頂きました。お陰様で優勝という最高の結果で恩返しをさせて頂いたと思っております。

車検で話題となったトラッカーですが、ボディ前方の太陽電池は浪越を使っています。残りの太陽電池は燃える男の赤いトラクター、いや失礼、柏会の赤いトラッカーを使いました。カクカクシカジカで野村商会の在庫品を使ったため、柏会に直接発注はしませんでした。改造しているのがバレるのが嫌だったからとか、嘘はついていませんからね、福北氏!!

ベンベンはこれくらいとして、柏会の赤いトラッカーは、業界スタンダードになりつつある流石の性能で、優勝の一助になりました。ありがとうございます。ところで福北氏、松山氏、新開発のトラッカーは使っていたのですか?

バッテリ残量が見える目を授かり、レースで役立てることができました。次は応力分布と、圧力分布と、磁束分布が見える目が欲しくなりました。誰か死神に寿命を差し出してくれませんか。

5分5秒で淡々と走りましたが、もう車両が悲鳴を上げています。悲鳴を上げない車両にしなさいと言われればその通りです。しかし、レースが高速化し過ぎてないですかね?太陽電池やバッテリのレギュレーションを変えるのは大変だと思います。現行の12時スタート17時ゴールを、13時スタート18時ゴールにしてはどうですかね?車両は現行のままで、使うエネルギーは減らせると思います。

最後になりましたが、ご支援、ご声援を下さったみなさま、ありがとうございます。
これから連覇を目指して頑張りますので、よろしくお願いします。

☆☆  総合 ゼッケン クラス チーム 周回   時間
  DREAM   OSU 大阪産業大学 66   5:00'54.530
  004 OLYNPIA   TEAM RED ZONE 63   5:00'15.069
  003 OLYNPIA   芦屋大学ソーラーカープロジェクトMONO 63   5:04'22.273
  25 CHALLENGE   Team MAXSPEED 59   5:02'20.122
  22 CHALLENGE   紀北工業高等学校 ものつくり研究部 59   5:02'34.633
  24 CHALLENGE   柏会 58   5:02'23.535
  12 23 CHALLENGE   堺市立堺高等学校 科学部 55   5:01'15.706
  公式リザルト: http://www.suzukacircuit.jp/result_s/2015/solar/0801_odc_r.html


  #25 Team MAXSPEED 走行データ
  周回数 59周 チャレンジクラス新記録
  走行時間 5時間02分20.122秒
  平均ラップタイム 5分07秒
  平均消費 レッドブル1本/1時間 地球換算で91.1Wh
 


今年も参謀司令のレポートでお伝えしました(み)
このページは、竹本さん・nyuie Azumino提供+さとうカメラの画像でできています。【無断転載厳禁】
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