Dream Cup ソーラーカーレース鈴鹿2009 DRIVER'S REPORT
〜2年目スタートドライバーの苦悩、焦燥、胃痛〜

2009年、Dream Cup ソーラーカーレース鈴鹿2009においてTeamMAXSPEEDは、総合順位3位、CHALLENGEクラス優勝という過去最高の記録を打ち立てた。 TeamMAXSPEEDはソーラーカー製作経験者は勿論、エコノムーブ、ソーラーバイシクル等の経験者が集まった「その道のプロ」集団である。そんなプロ集団にひょんな縁から2008年にスカウトされ、ソーラーカー「Flat Out」のドライバーとして参戦することになった私が、TeamMAXSPEED2年目スタートドライバーの視点から、この場をお借りして2009年のレースを振り返る。

8月1日 決勝第1ヒート 天気:大雨

スタート40分前頃からFlat Outをコースグリッドへ搬送する。
この時チーム参謀と作戦の最終確認を行うが、第1ヒートの作戦は

「なんとしてもコースオフしないこと。安全第一。タイムは遅くていい」

チーム監督、参謀は必要最低限すぎる作戦しか私に伝えない。
余計な情報を与えてドライビングに影響が出ないようにという親心からである。

スタート30分前。ピットから歩いてコースイン。
緊張で胃がキリキリ、心臓はバクバク。
別の要因もあったが諸事情により割愛させて頂く。

スタート5分前。
Flat Outに乗り込み、チームメンバーに見送られる。
乗り込むと不思議と胃痛と鼓動は治まってくる。
ここまできたらどうしようもない。
「やるっきゃない!!」のである。

カウントダウンが始まる。5,4,3,2,1...オールグリーン!!
勢いよくスタート!!...とはいかず、雨にビビりながらゆるやかにスタート。
周りの車両を確認しつつ1コーナーへ飛び込む。

十分に減速し、ラインキープでそのまま2コーナーへ。Flat Outがコースに対してまっすぐになってからアクセルオン。

その後も「ナリ」でS字〜逆バンク〜ダンロップをクリアし、一番の鬼門デグナーヘ。
デグナー1はフラフラしながらも何とかクリア。デグナー2は手前で十分すぎるほど減速し、進入。
ここでもフラフラしながらクリア。クリア後、慎重にアクセルオンし、ヘアピン〜200Rをクリア。

第2の鬼門、スプーンカーブ。奥に行くほど下り勾配となっており、コーナーRもキツくなっている。
滑っているのは分かっているが、3輪ドリフト??の状態でちょこちょこ修正舵を当てながらクリア。
バックストレート、旧130Rをクリアし、雨天時最後の鬼門、シケインへ。シケイン2も下っている為、
すぐリアが抜ける。ここでも十分に減速し、慎重にステアリング操作を行いながらクリア。
最終コーナーを抜け、ホームストレートへ無事帰還。
以上は雨天時私が走行した流れであって、攻略方法ではない。ヘビーウェットの為接地感が感じられず、
各コーナで何をしても3輪が滑り、氷の上を走っているような感覚だった。雨粒もスクリーンに張り付き、
前があまり見えず攻略どころでは無かった。
そんなこんなで約2時間走行し、ドライバー交代。第1ヒートはクラス1位で終了した。
「コースオフしない」という目標はクリアしたが、走行データを確認すると
エネルギー消費、タイムのバラつきが大き過ぎる。凹みながら第2ヒートの天気の回復を祈った。

8月2日 決勝第2ヒート 天気:雨時々曇り

祈りは届かず、第1ヒートと同じような天候に。今日もFlat Outを
グリッドへ押し出す際にチーム参謀と作戦の確認を行うが、第1ヒートと同じく

「なんとしてもコースオフしないこと。安全第一。タイムは遅くていい」

好天を期待できない今年は我慢のレースであり、コースオフ、パンク、
走行ペースが乱れたチームから優勝争いから脱落する
本当の意味でのサバイバルレース、ということだった。
 またも胃の痛みを感じつつ、Flat Outに乗り込む。
 5番グリッド、アウトサイドからのスタートである。

 シグナルがオールグリーンとなって慎重にスタートするが
 目の前のソーラーカーがスタートに遅れた!?
アウトから抜きにかかるが、目の前のソーラーカーもアウト側に振ってくる。すぐさまアクセルを全開、
一気に抜き去り接触を免れた。そのまま第2コーナーをクリアすると、なんとO大学、A大学のすぐ後ろ、
3番目のポジションまでアップしていた。しかし、作戦通りの走行の為、後続車両にすぐに追い越される。
マイペースに走行していると、程無くしてリアから異音が聞こえてきた。

去年の大会ではモータのセットボルトが緩み、センターナットまでが緩んできてピットインを行ったが、
それが再発したのかと思い一気に血の気が引く。すぐさまチーム監督に連絡し、ピットイン。
調べてみるとモータセンターナットは緩んでおらず
モータハーネスとタイヤスパッツのフランジが干渉しているものだった。

車体的に特に問題では無かったがピットインに要した時間は約4分。

第1ヒートの貯金がほぼ無くなり、上位4チームが同一周回となった。
これでレースはますます混戦、各チーム探り合いのサバイバルレースに突入した。
しかし、ウェットな路面、先程のピットインで心が折れてしまいペースを保つことが出来ない。

なんとかペースを保とうと試行錯誤している内にドライバー交代の連絡。ピットインしドライバー交代。
以上が私がスタートドライバーとしてレースを行った状況である。

終始ビビりっぱなしで、最後まで満足のいく走りが出来ず、今もスッキリしない。

このモヤモヤを吹っ飛ばす為には、
来年のレースまでに自分の走行方法を確立し、
レースマネジメント通りに走行し、ブッチギリで連覇する事である。
TeamMAXSPEED 2年目スタートドライバー:Y.SHONO

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